研究理念 メンバー 連絡先 トップ

研究理念

「像」を通して、本質を見る

私たちは、「像」を多面的に探求し、その本質や原理の解明を目指します。

一般的に「image」と言えばRGB写真を指すことが多いですが、広義には ある対象や現象の特徴や状態を記述するパターン情報全般 を指します。RGB画像はその一例であり、人間の視覚が世界をどのように捉えるかを空間的パターンとして写し取ったものです。他にも、距離画像や分光画像、CT像(X線吸収率の三次元分布)、MR像(核磁気共鳴からの像)など、多様な「像」が対象の様々な側面を記述します。また、数学における「像」は、写像や関数を通じて対象の構造を別の空間へ写し取った結果の集合を意味します。

像情報学(Image Informatics) では、現実の対象や現象をセンサや計算的な処理を通じて、多様な記述空間(ピクセル、波形、点群、特徴ベクトルなど)に表現された「像」として捉えます。こうした「像」のパターン情報の本質的な構造、変換、表現方法を学際的に研究し、対象の本質に迫ります。視覚画像だけでなく、センサ信号・形状・動き・時系列データなど、幅広い「像」を対象とした取得・解析・理解・提示に総合的に取り組みます。

1. 計算撮像

「像」は対象そのものではなく、観測手段や条件によって切り出される側面の記述です。 たとえばRGB画像は、特定の視点や照明条件で観測された反射光の強度分布を表しており、視点や観測方法が異なれば異なる「像」が得られます。 像の取得(imaging)では情報損失が避けられませんが、複数のモダリティや観測条件からデータを集めて統合処理することで、より本質的で不変なパターンや構造を抽出できます。この過程は、各観測を「符号化(encode)」、統合と解釈を「復号(decode)」とみなすことができ、光学設計・電子制御・スパースモデリング・深層学習・最適化など多様な技術が関わります。

像情報学では、こうした計算撮像とモダリティ情報統合に関する学際的な研究を展開します。

2. 動きや変形の理解

像の時間的変化は、対象や現象の理解・予測の鍵となります。 たとえば人間の動作には骨格構造に基づく変形制約があり、肺のCT像や病理組織、天気予報に用いる雲の運動にも、それぞれ物理的・構造的な制約が時空間的パターンとして現れます。

像情報学では、こうした時間的変化を伴う像の変形や運動を、幾何学的・統計的な手法で数理モデル化します。特に、変形を幾何写像として記述することで、等角性や等長性、滑らかさなどの制約を保ちつつ、複雑で非線形な変形現象の解析・再構成を目指します。これにより、生体形状や自然現象など、現実世界の多様で動的な「像」を統一的に扱う枠組みを構築します。

3. 可視化と表現

情報を効果的に可視化・表現するには、「視点」の設計が重要です。 全ての情報を網羅的に見せるのではなく、目的に応じて情報を取捨選択し、最適な「像」として提示することで、知りたい情報を的確かつ直感的に示すことができ、新たな発見や意思決定の支援につながります。

像情報学では、人間の知覚やインタラクションの特性を考慮しつつ、興味対象の特徴を効果的に伝える視覚・空間表現技術の研究に取り組みます。従来の2次元ディスプレイに限らず、3Dディスプレイや3Dプリンタなど、多様な出力手法による新しい「像の表現」も探究します。

メンバー

教員

  • 教授: 舩冨 卓哉

連絡先

〒606−8501

京都市左京区吉田二本松町

京都大学 学術情報メディアセンター南館 407号室

 img.info.ku [at] gmail.com